高齢化社会になって、バリアフリーのマンションや一軒家を探している方、はたまた、これからバリアフリーの家を建てる、リフォームするという方が増えてきているんじゃないでしょうか?
実際に一軒家を車いす仕様の完全バリアフリーにリフォームをしたので、「チェックすべき重要なポイント」や「実際にかかった費用」などを詳しく説明していきたいと思います。
特にバリアフリーという点においては、妥協なく徹底的にこだわった家になったと思うので、参考にしていただけると思います。
目次
バリアフリーな家の重要なポイント
車椅子の嫁と結婚することが決まり、「結婚は一緒に住んでからで良いのでは?」との嫁のご両親からのお言葉もあり、急いでバリアフリーの新居を探すことに。
バリアフリーの家においての重要なポイントは
・家の出入りが車椅子でも簡単に出来る玄関
・トイレが車椅子でも入れる広いスペース
・お風呂は浴槽までの導線があり、アプローチが安全
・車椅子で快適に使えるキッチン
・家の導線全てが車椅子で移動できる幅が確保されている
でしたが、まず無い。トイレの時点で無い。
正直、トイレとお風呂がクリアされていれば最低限OKだとは思っていたのですが、
車椅子対応のマンション・一軒家って本当にないんですね・・。
結局、マンションや新しく家を借りるのは諦めました。
ただ、人に貸していた一軒家を所持しており、ちょうど誰も借り手がない状態だったため、その一軒家をリフォームすることに決めました。
その一軒家の敷地状況は
敷地面積:75.11㎡
建蔽率:50.00%
容積率:80.00%
です。
リフォーム開始!
そう決めたのが2016年の10月頃。
知り合いに紹介してもらったとある工務店の設計士さんと一度打ち合わせし、1ヶ月ほどで簡単な設計書が届きました。
この設計書を元に、打ち合わせを重ねること4ヶ月ほど。嫁の実家が米原なのですが、大阪から米原まで何往復かしていただきました・・。

具体的にどういった打ち合わせだったかというと、通常のリフォームや新築を建てるときと同じく、木の種類やクロスの色などももちろんですが、実際に設計している図面通り紐を床に這わせて実際にシミュレーションし、
・車椅子での導線の幅は確保できているか
・コンセントの高さ
・扉の手をかける部分の高さ
・トイレの位置/手すりの位置
など測れるものは全て測っていただきました。嫁の実家で使用している「トイレ」や「お風呂」も、実際にどんな具合で使用しているかをシミュレーションして確認していただきました。
このおかげで、実際に住んでみて、車椅子の嫁が不便しているものがほとんどありません。
そこから着工までに
・トイレ
・お風呂
・キッチン
・洗面台
を
・積水ハウス
・パナソニック
のショールームへ行き、キッチン以外は全てパナソニックさんにすることに決めました。
基本的にはバリアフリーに強いというか、車椅子ユーザーへの対応もしっかりしているのが
・積水ハウス
・パナソニック
だそうで、お風呂に関しては2社とも大差がなかったのですが、結局、決め手はデザインでした。
最近のパナソニックは、無駄な余計なものがないデザインの製品が多く、私達夫婦ともに余計な装飾は要らない!というタイプなので、家中パナソニック製品で溢れてます。(冷蔵庫・洗濯機・エレベーター・お風呂・トイレ・ヒーター)

ただ、キッチンだけはどちらのものもイマイチ・・。イマイチというか惜しい。
車椅子ユーザーにとって、キッチンは高さがとにかく重要。
何故かと言うと、「高いと作業がしづらい」が「低すぎると、足が奥まで入らない」のです。
しかも通常、キッチンの下にはグリルや収納スペースなどがあり、そうなってしまうとそのエリアには足が入らないため、作業が出来なくなってしまいます。そういったこともあり、キッチンはオーダーメイドにすることになりました。
(KOBE STYLEさんに作っていただきました。めちゃくちゃ素敵なキッチン)
こういった家の中のことを決めていくのに3ヶ月ほどかかり、実際にリフォームの着工が始まったのが8月。そこから約4ヶ月ほどで完成!
完成した時は、嫁と嫁のご両親と家を見に行ったのですが、嫁も私も、嫁のお母さんも皆号泣。

各ポイントのおさらいと写真
・玄関のスロープ
玄関までのスロープ。1/12勾配。通常、バリアフリーと言える基準は「1/12」です。嫁も問題なく自走できます。
・トイレ
パナソニックのトイレ(アラウーノ)。トイレ自体は車椅子仕様ではなく普通のトイレです。ただ、左右に付いている取っ手の場所、高さ、トイレとの距離が重要なようです。
・お風呂
お風呂もパナソニック。浴槽の横に移乗台が配置されていて、安全に浴槽に入れます。また、移乗した後にバランスを崩したりした時に掴むようの取っ手など、位置や高さなどはカスタマイズ出来ます。(もちろん色も)
・エレベーター
これまたパナソニック製。平屋の家なら必要がないのですが、狭い日本。平屋で広い土地などはそうそうなく、京都ではよほどの金持ち以外は無理!嫁の実家も2階建てで、朝晩と嫁をおんぶして階段を上り下りしていましが、まあキツイ・・。嫁にとっても、上下するのに家族におんぶしてもらうのは相当なストレスだったでしょう。
ですので、エレベーターは必須でした。気をつけないといけないのはメンテナンス費がまあまあかかります。
・キッチン
こちらはKOBE STYLEさん作。この家の中でも一二を争うほどのお気に入り。かつ、費用もかかりました。足を入れるスペースを確保するため、下側には何もありません。ちなみに、僕が10分ほど洗い物をすると腰が結構痛くなります。嫁専用のキッチンですね。
・その他随所に車椅子の嫁を気遣った処理が施されています
ベランダの窓は重くなると嫁が開けるのが大変になるため、軽い一枚ガラスに。その分、冬は寒くなるので、障子をつけていただきました。

お金の話
今回のリフォームにかかった費用ですが、締めて「2580万円」!
まあまあかかりました。ローン返済頑張ります(25年ローン)。
内訳は、
・共通仮設工事:¥640,000
・建築工事:¥16,035,651
・電気設備工事:¥1,106,092
・給排水衛生ガス設備工事:¥1,034,931
・空調換気設備工事:¥315,383
・外構工事:¥414,990
・昇降設備工事:¥1,939,000
・解体撤去工事:¥1,547,830
・諸経費:¥2,990,000
大きいところで言うと、
・昇降設備工事:約194万円
エレベーターですね。
本来の定価だと、エレベーターだけで「278万円」するみたいです。
ずいぶんと値下げしていただき、「170万円」になっていました。
それに工事費を加えて、上記の価格になっていました。
・システムキッチン:約218万円
こちらはエレベーターより高い。しょうがないですね、完全オーダーメイドですし。
でも嫁もすごく気に入っているので、お金をかけて良かったと思っています。
住宅ローン減税も
最後に、バリアフリーのリフォーム/リノベーションをされる方は必ずチェックしておいたほうが良いです。
以下の条件で住宅ローン減税制度が利用できます。
- いずれかに該当する改修工事であること
- 大規模の修繕又は大規模の模様替えの工事(増築、改築、建築基準法に規定による)
- マンションなど区分所有部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替の工事
- 家屋の居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床、壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
- 耐震改修工事
- 一定のバリアフリー改修工事
- 一定の省エネ改修工事
- 対象となる改修工事費用から補助金等の額(平成23年6月30日以後契約分から)を控除した後の金額が100万円超であること
- 居住部分の工事費が改修工事全体の費用の1/2以上であること
また、利用の要件ですが、
- 住宅の引渡し又は工事の完了から6か月以内に、自ら居住すること
- リフォーム工事費が100万円を超えるもの
- リフォーム工事後の床面積が50m2以上
- 住宅ローンの返済期間が10年以上
- 年収が3000万円以下
です。
増改築等工事証明書(https://www.refonet.jp/csm/info/fund/tax_reduction/zokaichikutousyomei.html)を工務店さんに渡し記述してもらいます。多分、結構面倒くさいので、渋られることもあるかも・・。
増改築等工事証明書を作成後、税理士さんにお願いし、減税が受けられるか見てもらえば良いかと思います。
ローン残高の1.0%が所得税額から控除されるため、僕の場合(ローン2,000万円)だと100万円以上が控除されます。
パナソニックさんの広報誌でも紹介されました
珍しい事例だったのか、パナソニックさんの社内広報誌の表紙にもしていただきました。ありがたい!
以上となりますが、似たような境遇の方に参考にしてもらえればと思います!