[画像引用] 041 FASHION https://041.world/fashion/
先日アパレルブランドのユナイテッドアローズが、脊髄損傷の障がい者でも簡単・安全に着られて、なおかつイケてるお洋服を発表しました。
これらは、日本テレビ放送網株式会社・株式会社電通・一般財団法人ジャパンギビングに所属する社会起業家たちが、メディア・クリエーティブ・ソーシャルの力を結集しながら、”WE”の力で社会課題と向き合っていく「Social WEnnovators」というソーシャルユニットが企画発起したものだそうで、ユナイテッドアローズはそのファッション分野において新しい服づくりやその売り方にチャレンジしたそうです。
この試みをつい最近Facebookで見かけて、あまりに嬉しくって軽く小躍りしました。
というのも、この身体になってから着られる服や履ける靴などがが本当に限られてしまい、ファッションを楽しむことにすらバリアがあるのが悲しくて悲しくて、道行く同世代の女の子を見るたび暗い気持ちになるほど、ファッションが心から楽しめないのが悩みの種だったからです。
身体の自由が効かない辛さ
脊髄損傷とは読んで字のごとく、脊髄が事故や病気などで傷つくことで、一度傷つくと皮膚のようには再生しません。神経の束を傷つけてしまうので、大なり小なりの身体障害が発生します。
なので多くの受傷者が一生車椅子です宣言をされます。 生活する上で普通の人が出来るであろうことが、同じ環境下では出来なかったりします。
その中の一つが衣類の着脱です。
胸から下が動かない私は、着替えはもっぱら車椅子上もしくはベッドの上。健常者の人が20秒で済む着替えが、私の場合は2分以上かかってしまいます。今でこそ慣れて多少上手に着替えるようになりましたが、初めは本当に大変でした。
リハビリの一つに着替えがあるほど、練習なしでは行えない行為なのです。今までなんの苦労もなく着ていた服が1人では全く着られないのは、気持ち的にしんどかったです。
目次
身につけられなくなったアイテムたち
さて、せっかくなので今現在身につけられなくなったアイテムをまとめてみました。
ボトムス編
【その1】受傷前のウエストサイズのボトムス
ただ太ったとかではありません。これには脊損特有の理由があります。人によっては当てはまらないかもしれませんが、腰椎より上で受傷した人はおそらく同じ境遇ではないでしょうか。
胸椎(胸あたり)を損傷してしまうと、腹筋や体幹の運動機能がなくなります。すると内臓を支える役目をしている筋肉が弱まり、内臓が正しい位置から下へと降りてしまいまい下腹部がぽっこりと出てしまいます。
しかもこの内臓下垂、ただボトムスが入らなくなるだけではなく、とにかくお腹が張る、すぐ満腹になり食欲不振になる、子宮が下がる(子宮下垂、切迫早産の可能性)、腸内運動が低下(便秘、下痢)するなどなど結構な厄介者で常に悩まされているものの一つです。
【その2】股下の浅いボトムス、伸縮性のないボトムス
これは想像つくと思いますが、立ってお着替えできないので伸縮性がないとかなり難しいです。
ウエストあたりまで上げられても、伸びねえ短えウエストまわんねぇ。
寝ながらとかサスペンダー使ったり上手な人はスッスーと履くのかもしれませんがどのみちスーパー面倒くさいです。
【その3】ショートパンツや丈の短いスカート
これは素足を出し過ぎるのが危険だからです。
痛い寒い熱いなどの感覚がないので傷を作っても気づかず大惨事になってしまう可能性があります。
そんなことある?と思われるかもしれませんが、実際私はかゆいはずの水虫に気づかず放置してしまった結果峰巣炎(ハチに刺されたように部位が赤く腫れ上がる炎症)で寝込みました。なので傷をつくらないようになるべく素足を出さないようにしなくてはいけません。
とにかく、お気に入りのズボンとかスカートあったのにもう履けません!ちくしょう!悔しい!悔しくて悲しい!!
靴編
【その1】ヒールのある靴
これは私もびっくりしたのですが、ヒールのある靴がまったく履けません。
というのも、ソールがヒール分反り上がっているため、足が沿わず奥まで入っていかないのです。
ブーツなどの間口の狭い靴も同じ理由で履けませんでした。
また、常に座っているので足がクリームパンのようにむくむことがしょっちゅうなので、幅のせまい靴も入らないことが多いです。
【その2】サンダル
とにかく脱げます。バックストラップがない限り履いているというはめているって感じなので余裕で脱げます。
下着編
かわいいショーツ
悲しい…。これもとっても悲しい…。
まずぽっこりお腹のせいで似合わなくなりました。あと座って履くと浅めパンツは上まで上げきれずお尻が隠れません。そしてもしもって時につける尿取りパッドがこれでもかってくらいはみ出ます。
脊損になって辛いのが排泄問題。便意・尿意便意は分からないから膀胱のキャパが限界になると勝手に漏れる!つらい!
わたしは入院後半ごろからすでにリハパン(履くタイプのオムツ)は卒業して、綿の深めパンツを今も履いています。意地でもオムツだけは卒業したかったのでトイレコントロールは頑張りました。
私も女子の端くれ、かわいい下着が履けないのは寂しいです…。まあ昔からユニクロと無印のパンツめっちゃ履いてたけど。
ついでにアウター編
ロングコート
これは着られないわけではありませんが、車椅子で生活しているのでロングコートは正直邪魔なのです。
しかしこれに気づいたのが退院後にロングコートを買った後…。まあ大丈夫だろ〜と勢いで買って気づかないふりしてワンシーズン使いましたがやっぱり不便です。ロングコートのロング部分をどうしても踏んでしまって個性を殺してしまいます。
けれど8万円もしたし気に入っているのでなるだけ着ようと思います。でもたぶんもうロングコートは買わない。
と、いったようにファッションにもバリアがあって結構辛いです。(おそらく掘り出したらもっとある)
でもそうも言ってられないので、わたくし模索しました!自分で納得できる定番ファッション模索しまくりました!
【決定版※2018年春現在】私の定番ファッションはこれだ!
今現在はこんな感じで落ち着いています。
普段着がワンピメインってハチクロのはぐちゃんみたいでよくない???かわいいよねはぐみ。
色んな服を着たい欲はもちろんありますが、ひとつのカテゴリを拘って着るのも悪くないなと今は思います。
何を隠そう、ボーダー夫さんが何よりそういう人なので、一緒に過ごしていくうちに同じデザインの服ばかり着ることに抵抗が無くなりました。むしろ楽そうでいいなとさえ思います。
まとめ
長々と着られないことに対する不平不満を書いてしまったことに少し罪悪感があるのですが、切実な悩みなのでお許し下さい…。
それと、定番ファッションとして紹介させていただいたものも結局不便はあって、ワンピースだともちろんシワになりまくるし、トイレで気をつけないと裾が便器の中に入ってびっちょんこになります。
なので、冒頭で書いたユナイテッドアローズの試みは本当に嬉しい。
介護福祉系のプロダクトってどうしてもクソダサいものが多くて、これ必要だけど全然欲しくない!っていう場面がものすごく多いです。
ファッションだけじゃなくて、生活雑貨とかでも作ってほしいです。無印良品さんどうですか。
ユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さんは、「メガネが開発されるまでは、目の悪い人は障害者だった。今はメガネは個性」とおっしゃっていたそうです。社会貢献が目的ではなく、あくまで新しいビジネスとして取り組んでいる理念もとても素敵です。
もっといろんなアイテムを作ってもらいたいです。個人的には使いやすくてイケてるカバンを作って欲しいな〜と思っています。
脊損女子の方で私こんな着こなししてるよ〜みたいなお話とか聞いてみたいです。(脊損じゃなくて身体障がいの方とか幅広く)
とにかくイケてる障がい者兼用アイテムをつくるアパレルブランド、もっとふえろ〜!
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